ネパール:概略

 東経80度40分から88度12分、北緯26度22分から30度27分の間に位置し、面積は147,181平方km、日本の国土の約3分の1位の小さな立憲君主国ネパール。中国とインドに挟まれた内陸国、そして全体の半分以上山岳地帯で囲まれています。標高70メートルから8848メートルまでの複雑な地形で、気候は山門部の極地性気候から南部の熱帯性気候まで地域によって違いがあります。

 ネパールの国土は自然環境によって、大きく3つに分けられています。南部インド国境沿いはタライと呼ばれ、標高60Mから280Mまでの広大な平野が続けている国土面積の約17%を占めている農産地域として知られます。南部低地の北側には、ヒマラヤ山脈の前山であるマハバールト丘陸が東西に走っている標高2000Mから3000Mまでの地域。この中部丘陸地帯は国土面積の68%を占める温暖モンスーン気候に恵まれています。カトマンズやポカラもこの地帯に位置します。国土の約15%を占める北の山岳地帯3000Mから8000M以上までの地域、この地域の最北端には大きな鋸の歯のような7000Mから8000M以上のヒマラヤ山脈が連なっています。この地域には4000Mまで人々が住んでいます。寒冷気候で農産するには厳しい環境です。

ネパール


首都:カトマンズ

人口:約2100万人

人口密度: 146/平方km(92)

人口増加率:2.1(国連の最新データ)

識字率:約35%

共通語:ネパール語

平均寿命:男性54歳、女性53歳(92)

総人口の80%人々が農家で暮らしている、発展途上国

 ネパールといえば、多くの方々が雄大なヒマラヤのイメージが思い浮かびます。ヒマラヤは大自然に恵まれ、数えられないぐらいの白い峰々の美しい姿で、しかもエベレスト(8848M)はじめ8000メートルを超える世界の高峰14座のうち8座をも占めます。トレッキング、ラフティング、ジャングルサファリを大いに楽しめます。登山家あるいは、豊かな自然を愛する人々にとっては欠かせない地域ではないでしょうか。仏教の創始者”釈迦”の誕生地ルンビニもネパールに位置します。

 そして世界的に有名なグルカ兵の故郷でもあり、また、インド(アルヤ)系とモンゴル、チベット系の約30以上の多民族が存在しています。さまざまな顔立ち、異なる言語,いろいろな文化や習慣であふれかえっているのです。ヒンズー教徒と仏教徒が仲良く暮らしているのも一つの特徴です。宗教や伝統による様々な興味深い祭りが年中あふれています。

 歴史のあるカタマンズ盆地の古代王朝建築がそのまま残っている城下町、家の数と同じぐらいのヒンズー教と仏教の寺院、そして街角のいたるところに見られる祠、人々はそれを敬い、祈り、捧げものをする。人々の暮らしには宗教の深いかかわりがある。

 一方経済の面ではとても貧しい国です。山岳地帯で、内陸国であり、約百年以上鎖国を続け、政治的な不安定が主な原因です。21世紀の直前に来て、いまだに6割以上の人々が自分の名前さえ書けない状態です。農業国なのに伝統的な栽培の方法が続き、現代的な方法がまだまだ見られません。貧富の格差が年々広がっています。都市と地方の村々の人々の暮らしに大きく差があり、80%以上の人々が村々に住みます。電気水道がない村々も少なくありません。人々は生きていくため、自然と闘うのが精一杯です。1990年の民主化運動が成功して立憲君主国へ移行した後国民が大きく期待してきましたが、未だ何の明るい変化もありません。村々の子供たちが都市に出てきてストリートチェルドレンになり、どんどん増えています。国の教育問題をどういうふうに解決するかというのが大きな課題です。

 

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