天上の回廊 

 

天上の回廊

パミール高原にある標高6000mの台地  天上の回廊とも呼べるプラトーである。

我々はこの雪原のトレイルを左上部の端から、右手前まで丸一日掛けて歩いた。

撮影した場所は、パミール地方の最高峰コミュニズム(7,495m)頂上直下。

高山研究所パミール登山隊1982の講師として参加した際、撮影 

 
 「東方より光あり(EX ORIENTE LUX ET PAX ラテン語)」。

過去から現在、そして未来へ。

世界の高峰が、気高くそびえ立つ「パミール高原」。
 

 

神秘の嶺

 「万山積雪を堆し、積雪万山を圧す」と謳われた、シルクロード最大の難所、パミール高原。

「パミール」とは、ペルシア語のパイ・ミール(峰のふもと)に由来します。

山中にある種のネギが群生していることから、中国では葱嶺(そうれい)と呼ばれています。

日本では「パミール」名が好んで使われることが多いようです。

しかし、「世界の屋根」といわれる葱嶺は、「パミール(平たい屋根)高原」の名から想像するような、

平たい台地状の高原ではありません。

標高三千メートルの高原に、七千メートル級の氷山が針山のようにそそり立つ…それが事実。

世界第二の高峰K2、「氷山の父」と呼ばれるムスターグ・アタ峰、コングール峰…。

そしてこの旧ソビエト連邦側(タジキスタン)にあるコミュニズム峰、コルジェネフスカヤ峰、レーニン峰(キルギスタン)。

雲のベールに包まれた高峰は、気高く美しく、ナイフのように鋭くて、容易に人の手を触れさせない。

それでいて人を魅了する魔性に満ち、多くの冒険者たちを惹きつけてきました。