Scoopこれがぽかぽか君だっ!

K県01年度国体代表選手O氏が昨年開発した
SKIwax浸透塗込マシン「ぽかぽか君」

やっとそのベールが解かれ、公開の運びと成った(笑)

O氏とぽかぽか君

※各写真をクリックすると拡大します

ぽかぽか君
#決して銀色の棺おけではありません(笑)
ハンズフリードライヤー2機がヒーターとして使われています
温度調節器と配線
銀色に光るケースは厚さ10mmの銀マット、そう、キャンプの時に使うあれですね。
このようにSKIを置きます
一度に2Set施工できます
デジタル温度調節器を使っているので、内部温度を一度単位で細かく調整出来ます
 

 昨年(01年)夏にも一度拝見していたのですが、今回じっくり取材させてもらいました。

 彼のSKIに掛ける情熱はすばらしいモノがあります。その発露の一端がこのWAX浸透マシンに現れていますね。

 雪無し県出身者が、子供の頃から当たり前のようにSKIを履いて育ってきた選手達と、同じ土俵で戦うのですから、その連中以上に情熱を持って取り組まない限り勝てません。

 技術も当然ですが、道具を使うスポーツですからそのマテリアルのクオリティの高さも必要になってきます。SKIの場合には「良く滑る事」これが1/100秒を争うためには必要な事です。良く滑るSKI板にする為に、このwax浸透塗込マシンが活躍するわけです。


滑る板の作り方(私の方法)

1)入手した板を自分の好みなスペックにプレチューンします。
 (フラット出し、ベースエッジビベル角、サイドエッジビベル角、ストラクチャ等)

2)低温で溶ける柔らかいWAXを厚めにアイロン塗りし、ぽかぽか君へ入れ、そのwaxが液化する下限値に内部温度設定をします。

3)好みの時間(通常2時間程度)液化状態を保っている間に、waxが滑走面に浸透していきます。

4)前のWAXをスクレーピング・ブラッシングします。
 次に少し堅めのWAXを厚めにアイロン塗りし、ぽかぽか君へ入れ、そのwaxが液化する下限値に内部温度設定をして、また2時間。

5)スクレーピングした後、
 非常に固いwax(CH4以上)をアイロン塗りしてスクレーピングとブラッシング。
 そしてファイバーテックスでポリッシュ。
 
これを10回程度繰り返します。
 この工程の途中5回目ぐらいから固いwaxを塗る前にSRBを生塗りします。

 固いwaxでのスクレーピングとブラッシングは非常に重要
 ストーンマシンで出来た「毛羽」落としと、ストラクチャの角を適度に丸めることが
 重要だと思っています。

 O氏によれば、この固いwaxを塗る際にぽかぽか君で板をプレヒートすると、かなり気持ちよく塗れるそうです。


 ぽかぽか君を使わないと、柔らかいwaxから堅めのwaxまで30〜40回アイロン掛&スクレーピングを繰り返さないといけませんでした。これは非常に時間と労力の要る作業で、アイロン掛けによる滑走面の焼き付きも心配になってきます。

 作業工程 4)と5)の間にV-サーモで堅めWAXを入れる事もやっているようですね。

*注意点、平板(サンドイッチ構造)以外のキャップ構造の板で、内部に発泡剤を使用している板の場合には、長時間加熱により発砲が進んでしまうことが考えられるので、注意しなくては行けません。

 ちなみにぽかぽか君の制作費は、部品全部を普通に調達すると、10万円近く掛かるだろうとの事です。 TOKOのサーモバック・システムと言う製品は100万円します。
細かい温度調整できる点でもパーソナル用途には、ぽかぽか君に軍配有りですな。(笑)
業務用にも充分使えるモノでしょう。

 更にO氏はこのぽかぽか君を、どのような工程でどのようなwaxを塗っていけばより滑る板になるかを研究中とのとこでした。頭が下がりますねぇ。

 このマシンを自分の板に試してみたい方がいたら連絡取ってみて下さい。その辺のチューンショップより遙かに丁寧に、かつ効果的にやってくれると、私は評価しています。

2002/3/19

※SKI GRAPHIC 誌 02/6月号にて NEXT HORIZONが紹介された際に、このぽかぽか君の事も取り上げられました。  

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