ワックス講座 よく滑る板でスキーをしたいですね。
ワックス講座(1)初めて滑るまでにベースを作ろう
レース用に使うつもりが有るならば、以下の例が参考になるかと思います。基礎用も同じように出来るといいですね。
用具 チューンナップ台、バイス、ワックスアイロン(古い家庭用でも可、但し表面のテフロンを剥がして使います
テフロンがワックスを弾いて上手く塗れないのと、傷が付きやすく、その傷で滑走面を傷つけ易いからです)
プラスチックスクレイパー、ブロンズブラシ、馬毛ブラシ、220番〜350番位の紙ヤスリ、
150番の紙ヤスリ。ワックス(ベースワックス2〜3種類、滑走ワックス2〜3種類)、オイルストーン、
ファイバーテックス(いわゆるナイロンたわし、600〜800番中目・1000番細かい目)1〜2枚
ワックスの種類 ワックスはいろいろなメーカーの物があります。
ベースワックスは、パラフィン100%の物を使います。雪温に応じて堅さが違う物が出ています。
高温用の物は柔らかく、低温用の物は堅く作られています。私は主にドミネーターを使っています。
(滑走ワックスは、ドミネーターとガリウム、R≒0、ブリコを使い分けていますが。)
ドミネーターの主なベース用パラフィンワックスはイエローとレッド、ブルーの3種類です。極寒地用もありますが・・。
スウィックスは100%パラフィンの物はCH10〜CH4まで5種類あります。通常CH10〜CH6まででいいでしょう。
ワックス掛けの実際
前段 チューンナップショップのチューンナップから戻ってきた板は、完成品ではありません。
ストーングライディングで作ったストラクチャーは、ストラクチャーのエッジが立っていて引っかかりがあります。
また、滑走面にはワックスが塗られていますが、1〜2回ほどしか塗っていない為滑走性が
まだまだ良くありません。以下の作業を繰り返すことによって、徐々に良く滑る板になっていきます。
1) 板を、しっかりバイスでチューンナップ台に固定する。
太い輪ゴムなどでビンディングのストッパーを戻して固定する。
又は、外せるならばストッパーを取り外します。
私はシーズン前、ワックスを塗り込む時期はビンディングを取り外しています。
その方が楽です。
2) ドライリューブ(紙ヤスリ)150番の上に垂直に置いてこすり、エッジを出したプラスチックスクレイパーで、
ワックスをトップからテール方向にしっかりと剥がします。細かい削りかすが出なくなるまで行います。
この時アルミのアングル材(L字型で長さ30cmの物)をドライリューブの上に置き、
これに沿わせて擦ると垂直が出せていいでしょう。
3) ブロンズブラシで、トップからテール方向にブラッシングする。
4) ファイバーテックス(600〜800番中目)でトップからテール方向に磨く。
5) 再度ブロンズブラシで、トップからテール方向にブラッシングする。
6) 必ずバイスをゆるめてから、ベースワックスを掛ける。 ※熱膨張でスキーがたわむから
アイロンの温度はワックスが溶ける温度以上で、煙が出ない位を調節して下さい。
ワックスによって溶融温度が違います。
アイロンを熱くして、ワックスを金属面に押しつけ滑走面に滴下します。初めのうちは多めに塗りましょう。
次にファイバーペーパーを挟んで、塗り広げます。
アイロンの金属面と滑走面がワックスが塗られていない状態で直接触れ合わないように注意します。焦げ付きます。
ブリコのファイバーペーパーを挟んでワックスを掛けると、万全でしょう。
ワックスが滑走面の上で1〜2分間は液体状態にします。(この間に染み込みます)
7) 板を室温で充分に冷やします。
8) 以上の工程を実際に滑走するまで、一日1〜3回、合計10〜30回位繰り返します。
初めの5〜10回迄は、ベースワックスの柔らかい物(高温用)を使います。
その後は低温用のワックスに変えてワックスを掛けます。
徐々に塗り込むワックスを堅くするわけです。
※ 4)〜5)の工程はストラクチャー内のケバを取る作業です。
※ プラスチックスクレイパーは常に鋭いエッジにしておきましょう。爪で撫でて引っかかりの無いように。
※ シリコンワックスは、気温が高く湿度の高い時に使用します。ただしフッ素入りのワックスに比べて
滑走性は劣ると言われています。(練習用には良いと思います)レースの時はフッ素ワックスを使った方が良い鴨・・・
今回私のアトミックの板2台をどの様にチューンナップしたか実践編
ATOMIC 10.26、9.18共に 新品をベースエッジ0.3度位のビベリング、ストラクチャーは細目のWクロス
サイドエッジ87度ビベリング。ダリングは全くなし。ここまではチューンナップショップに依頼。
ベース作り
ホルメンコールのイエローを10〜12回上記したようにワックシングとブラッシングを繰り返し、
次に2回ほどイエローとレッド1+1に混合して掛け、次にレッドワックスを10回。
そして、ホルメンのレッドワックスより堅い、スウィックス100%パラフィンのCH6を5回ホットワックスしました。
さらに堅いホルメンのチャンピョンECを2〜3回掛けようと思っています。
イエローを5回ほど塗った後に、サンドペーパー400番で、滑走面を2回ほど軽めにサンディングしました。
これは、ストラクチャーのエッジが立っているのを丸くする意味と、ワックスの染み込みを良くする為です。
ある程度ワックスが染み込んでいる状態でサンディングしないと毛羽立ちやすいので注意します。
9.18をレッドワックスを塗っている最中にザウスで滑りましたが、とても良く滑りました。
当日ヘッド&チロリアのメーカー試乗会があって、チューンナップしたてだと云う板に乗る機会がありましたが、
履いた瞬間から自分の板の方が良く滑るのが解りました。常設ポールのタイム計測で1秒以上違ったのには驚きました。
いい状態で出来上がりつつあるなと実感した事です。
これまでで、ワックスの使用量はホルメンコールのイエローとレッドそれぞれ180g。スウィックスCH6が60g
金額は¥1800*2+¥800=¥4400 板2台のベース作りに掛かったワックス代です。
速報! 99年1月、神奈川県スーパーG選手権(上越国際大沢コース)で上記のベース作りをした
アトミック10.26が良く滑り、15位に入りました。(去年は130位ぐらい)
私の技術から考えれば、板の滑走性が良かったのが原因でしょう。 (^_^;) 99/1/22