『インラインスケートで130kmという距離を一日で滑りきる』

 

 こんな破天荒なことを始めた先達が居た。1998年の事だったらしい。
群馬県桐生から渡良瀬川沿いの自転車道を下り、利根川に出る。更に江戸川沿いに続いている自転車道路を繋いで、東京湾葛西臨海公園まで。
その道を「タイタンロード」と名付け、「G0(ゼロ)」と呼んで走られていたが、
nobuさん、一部のコアなフィットネススケーター数人が行っていたに過ぎなかった。

 その話しを聞き付け「おもしろそ〜じゃん、やってやろ〜じゃないの!」と、準備もそこそこにチームコソ連で走ったのが去年の晩秋11月のこと。結果、何とか完走はしたものの、その絶望的な距離に打ちのめされ、やっとの思いでゴールしたのだった。
 途中で何度となく「やめたい」「もうここでリタイア」そんな言葉が頭を巡っていた記憶がある。
たいちくんに至っては、ロングラン向きのブーツではなかったものだからハンデがあり、かなり辛かったようだった。何度も途中で辞めようと真剣に考えていたらしい。(今年のたいち君、ブーツをスクリーマーに変えて余裕が伺える)

 しかし滑っているときにはそれほど辛かった130kmだが、終わってみれば普段経験し得ない達成感と充実感にひたっている自分を発見したのだ。そしてその感動を共にしている仲間達。
なんかもうやめらんねぇ(笑)。完全に長距離にはまったね、中毒患者。

 「もっと大勢で滑ればさらに楽しいかも?」そう思ったのが今回の企画の基でした。

 

 そして夏の暑い最中、8月16日に熊谷〜彩湖を走ったオジサン4人(ますださん、よしみさん、はまちゃん、ワタシ)が、西浦和のデニーズで大まかな案を決めた。去年までの手探り状態の130km Run と違って、今年は人も増えそうだから走行ペースに合わせて2チームに分ける。
・走力の弱い者&始めてで不安がある者は5時出発の先発組
・ロングランのベテランで、普段からトレーニングを積んでいる者は、10時間を切るペースで走る後発組。6時出発
『走力の弱い者』と言ったって、他の面子と比較しての話しであって、60km、80kmは平気な顔して走れるぐらいじゃないと130kmは持たない。春の日の長い時期ではなく、日が短い秋に行うのだ。のんびり走っていられないし、何故だか解らないがチームコソ連のペースはめっぽう速いらしい。

 脚力のない人が参加したいと言ってきたらどうしよう?なんて断ればいいかなぁ、などとZAZU姐ェと相談していたら、たいちくんが絶好の文章を書いてくれた。
なめたら あかん!である。参加を決めた人や行きたいと思っていた人にとっては、かなりインパクト有る文章だったと思う。
130kmって「はんぱじゃないみたいだ…」と。

そんなたいちくんのアジテーゼに触発されたのかは解らないけど。

 今回の参加者が、それぞれのホームページや其処此処のBBSで語っている物を読むと、みんなそれなりに準備を重ねてきていることが解り頬がゆるむ。(去年の俺達はそんな気合い入れて準備しなかったよなぁ…)


 ますださんは長い経験から「軽いが一番」とブーツ、持ち物に至るまで徹底的に軽量化を進めている。

 はまちゃんは直前までブーツを決めかねていた。そりゃ20足近くもインラインブーツを持ってりゃ、どれを使うか悩むのも道理だぁね。(笑) あげくに手持ちのブーツじゃ気にくわなくて、超ロングフレームのウルトラホイール5輪を買い込み、ヘルシーロードや餃子ロードで試し履きしてたし。(結局裏目に出たのかな?)この人の購買欲はとどまるところを知らないらしい。

 人に警告発しておいて、後から不安になったらしいZAZU姐ェは、「あたしゃ絶対ぇそんなモン買わない!必要ない!」と 頑なに言い張っていた5輪シューズを130km対策のためあっさりとご購入なさっちまった。しかし買って何度か履いてはみたものの、付け焼き刃で履きこなせる物じゃないと悟ったらしく、哀れ5輪シューズはお蔵入り…。

 unoくんはその類い希な工作好きな性格からか、道具に活路を見いだそうとしているようだった。道具も大事だけど、実際に走って経験と技術、精神力を鍛えるのが先じゃないの?って、端から見て心配に思っていたのは私だけ? しかし、アクシデントが有ったにもかかわらず無事完走したのは立派です。

 平塚から参加のひょうどう君のHPを見ると、何回も(7回!)町田〜江ノ島を走り、9/6中井中央公園100周(50Km)4時間、なんてのまでやっている。2daysの2日目にも参加してるし。若い奴がそんなにトレーニングしちゃ、オジサンはどうすりゃいいの?って。

 たけくんはコソ連のロングランにはことごとく参加した上に、本番一週間前には試走のつもりで走ったら7時間50分で走りきってしまった(驚)・・・今後は抜け駆けくんと呼んであげるね。

 Rightくんに至っては「130へ続く道」がメインコンテンツのHPまで立ち上げて、『2001/10/20 に行う「桐生-葛西 130kmRun」.爽快に走りきるための「こそ練」記録』ってのを付けてる。


 表に出さない人もみんなそれぞれ準備を積み重ねて、130kmに挑んだんだなってのがよく解って楽しかった。まぁそうじゃなきゃあの時間で完走出来無かったろうし、充実感も少なかったろうと思う。
準備期間も含めて、それぞれの130kmを楽しんだんじゃないだろうか。
自分も含めてだけど、良い経験させてもらいました。ありがとう。

 それじゃ、あんたはどんな事準備したの?って聞かれても特別なことはしなかったなぁ(汗)。ウィールを新品にして、ベアリングを手持ちの中では一番高級な奴付け、バームとバームウォーターを2本ずつ買ったぐらい。
あ、滑り方が去年より少し効率よくなった気がしてますが。そんなとこ。
 そんな舐めたような準備をして臨んだんだけど、経験の積み重ねって大きいね。去年の体力消耗度が95%としたら今年は80%ぐらいでゴール出来たように思う。
まだ少しは行けそうって感じだった。


で、最後にこれだけは言いたい。

「後発隊に抜かれたくない…と思った奴は、後発で滑れよな!」

 

来年がどうなっちゃうのか心配だけど・・・(いろんな意味で・笑) 
楽しそうなことは間違いないと思うな。

 興味を持った方、練習して準備すれば、あなたもインラインスケートを履いて一日で130km走れるかもしれませんよ。ランニングでのフルマラソン42.195km走るよりは身体へのダメージは少ないと思います。
来年もまたやると思うので、ご一緒しませんか?

心に残る一日になること、請け合います。

2001/10/26記